RESEARCH
人を生かす、いいチームってなんだろう?
ラグビーと仕事に共通する
“組織力”のカギを探る!
Featuring
三菱重工相模原
ダイナボアーズ
岩村 昂太 選手
Featuring
三菱重工相模原
ダイナボアーズ
宮里 侑樹 選手
Interviewer
UACJ 後藤 里保
会社やスポーツの場でも、人を生かし、人へ投資していくことはサステナビリティへつながる重要な一歩です。そこで今回は、プロスポーツの世界をのぞいてチームビルディングの秘訣をリサーチ!UACJ広報の後藤が、三菱重工相模原ダイナボアーズの選手へお話を聞きました。
三菱重工相模原ダイナボアーズ
神奈川県・相模原市をホームタウンとし、ラグビーの日本最高峰リーグであるジャパンラグビーリーグワンで戦う、日本ラグビー界におけるトップチームの一つ。スポーツで地域・社会貢献すべく、ラグビーを軸に地域とさまざまなかかわりを持つ。試合は主に12月~5月の週末に開催。
岩村 昂太 選手
1993年、福岡県出身。4歳からラグビーを始め、福岡県中学選抜、さらに東福岡高校で日本一を経験。その後同志社大学に進学し、関西大学リーグ制覇。2021年より三菱重工相模原ダイナボアーズに在籍。2022年から3シーズンキャプテンを務めた。ポジションはスクラムハーフ。
宮里 侑樹 選手
1997年、沖縄県出身。中学までバスケットボール部、駅伝部に所属し、地元名護商工高校でラグビーを始める。卒業後、早稲田大学へ進学しFWのキーマンとして活躍。2019年より三菱重工相模原ダイナボアーズに在籍。ポジションはフッカー。
今日やってきたのは…そう、ラグビー場です!

ここは神奈川県相模原市を拠点とする「三菱重工相模原ダイナボアーズ」の練習場。岩村選手と宮里選手のお二人へ、早速直撃インタビューします!
なぜラグビーでは、
組織力が重要なの?
岩村
そうですね。ラグビーというスポーツはポジションによっていろんな特性を持った選手がいます。その中で自分の役割を全うしていくという色が濃いスポーツです。
後藤
プレーや体格の違いを見ても、役割の違いがよくわかりますよね。
岩村
だから、いろんなカラーがある選手を“うまく生かして、まとめる力”、組織力が勝敗を大きく左右するんです。
後藤
なるほど!だからラグビーでは「ワンチーム」や「One for All, All for One」という言葉のとおり、組織力・チーム力がポイントなんですね。
岩村
はい。自分の役割に邁進するのはもちろんですけど、それだけじゃチームとしてはまとまらない。ヘッドコーチを筆頭にコーチ陣の統率力や方針が重要で、僕ら選手もコーチ陣の方針は“絶対”という意識で日々プレーしています。
後藤
おもしろいですね。会社の組織論とどこか似ているような気がします。
宮里
たしかに、共通点はあるかもしれないです。
後藤
組織の中で、その人の強みを見極めて、適材適所にポジションを配置していくという点では、企業もスポーツチームも同じ。これは発見です!
チーム力は、
どうしたら高められる?
岩村
さっきも言ったように、コーチ陣の方針がかなり重要なので、その方針や方向性、そこから落とし込んだ“すべきこと”を何度も繰り返し伝えることですかね。僕がキャプテンのときは、試合前のロッカールームで「今週のテーマはこれ」と毎回言語化して、みんなの意識を揃えるようにしています。
宮里
僕は日々のコミュニケーションが根底にあると思います。やっぱり日常的にコミュニケーションを取れているどうかで、試合の場で連携できるかどうかが変わってきます。
岩村
あとは僕らのチームでは“飲みにケーション”もすごくいい手段です。
後藤
それは、なぜですか?
岩村
お酒を介してコミュニケーションすると本音を出してもらいやすいんです。普段は無口な外国人選手でも、キャラが変わった姿を見ると「こんな一面あるんだ」って、距離が縮まりますね。
宮里
岩村選手、実はものすごくお酒が強くて。
岩村
全然強くないよ(笑)。
宮里
ラグビーからちょっと離れてコミュニケーションを取れる場という意味でも、飲み会は信頼関係構築にもつながります。
後藤
選手同士の飲み会…なんだか盛り上がりそうですね!
ミーティングを
より良い場にするには?
宮里
ミーティング前に、アイスブレイクをしています。ダイナボアーズでは、チームスタッフが率先して企画を考えてくれて、たとえば先日もおもしろい映像を流してくれたりしました。
岩村
あとは、シーズンごとにチーム内を4つのグループに分けているんですけど、いろんなゲームをしながらグループごとに点数をつけて、合計得点を競い合ったりもしてますね。
後藤
たとえばどんなゲームをするんですか?
岩村
箸を使って豆を運ぶとか。結構盛り上がります。
後藤
楽しそうです。
宮里
ミーティングに対して、しっかり目的を持って取り組むのもそうですけど、まずは場づくりも大事ですよね。
後藤
会議の雰囲気が暗いとなかなかアイデアも浮かばないので、ゲームはアイスブレイクの手段としてもいいですね。 “怖い会議”になりそうな時はぜひやりたいです(笑)。
岩村
もちろん僕らにも“怖い会議”はありますよ。試合で負けが続いた後のミーティングは、本当に空気が重いですから(笑)。
チームを率いるリーダーに求められるものって?
宮里
チームの方針を誰よりも理解して、しっかり腹落ちさせることじゃないですかね。それでなきゃ、他のメンバーにもちゃんと伝えられないので。
後藤
お二人は、共にチームを率いるリーダーを務められていますよね。会社で言うと中間管理職が、経営方針を理解して部門ごとに落とし込んでいく、ということかなと思いますが、100%理解するのは意外と難しそうです。
岩村
けど、それがめちゃくちゃ大事。
後藤
正直納得はしていないけれど、それでも伝えないといけない、みたいな場面はないんでしょうか。
岩村
もちろんゼロではないです。選手もいっぱいいますし、いろんな意見もある。でもコーチ陣はチームの「芯」となる部分を決めてくれるので、そこはしっかり受け入れて、チームのためと思いながら、みんなが一つになれるように共有しています。
後藤
まさにワンチームですね!
理想のリーダーって
どんな人?
岩村
発言と行動に一貫性のある人。いくら良いこと言っていても行動が伴ってなかったら、やっぱりついていきたいとは思いませんから。
宮里
それで言うと、岩村さんは本当に理想のリーダーです。
岩村
またまた(笑)。
宮里
いや、本当です(笑)!オンオフがはっきりしていて、オンでは誰よりも早く練習場に来て準備して。あの姿を見ていると、僕は絶対真似できないって思います。
後藤
岩村選手は言葉よりも行動で示すタイプなんですね。逆にメンバーに対して声かけをする場面もあるんですか?
岩村
それも人それぞれですよね。僕は例えば、苦しいときの軽い声かけはいらなくて、声をかけられるなら具体的な指摘が欲しいタイプなんです。宮里とかは逆に言われたいタイプだと思うし…。
宮里
はい、めっちゃ喝入れてもらいたいです(笑)。集中力が切れてぼおっとしちゃう瞬間があるので、切り替えられるというか。
岩村
それぞれにあった声がけや接し方を見つけるのも、必要なスキルかもしれないですね。普段のコミュニケーションの中で、しっかり相手を理解して見つけていけるんじゃないでしょうか。
後藤
なるほど。勉強になります!
もしもチームの方向性に
納得できなかったら…?
岩村
プロスポーツ選手は、チーム方針に納得できないと、そもそも試合に出られません。だから自分でいかにチーム方針を落とし込めるか、ですね。
後藤
コミット力にかかっているんですね。
岩村
でも、一般企業でも同じじゃないですか? 会社の方針に対して、ちゃんと理解して、向かっていく人が仕事で活躍できる機会を与えられるってことだと思います。
後藤
なるほど。
岩村
社会人になりたての頃は、僕もできていませんでした。変なプライドもあって、納得いかないことを態度に出したり。でも徐々に自分にとっての役割がわかるようになりました。
宮里
岩村さんにもそんな時代があったんですね。
岩村
ありがたいことに、今のコーチ陣の考えは、自分の考えとも似ているところが多いので、納得できないことはあまりないです。示してくれる方向に向かえば、必ず結果が出るという信頼もありますね。
チームの方向性、
見失わないためには?
岩村
ダイナボアーズでは、コンパス(羅針盤)を使って向かうべき方針をすり合わせるというやり方をしているんですけど。
後藤
コンパス?
岩村
これです。
岩村
三菱重工はもともと長崎の造船所から始まった会社です。それに由来した「航海コンパス」を取り入れて、チームの方向性の確認をし合っているんです。
「北」は僕ら全員が目指すべき方向性。そのほかの方角にも意味を持たせて、今はどのポジションにいるのか、足りていない要素は何かをこれを見ながら話し合うんです。
後藤
方向性を可視化して共有するというのは、とてもおもしろいアイデアですね。指針とするものがあると理解がしやすいです。
UACJでも従業員の行動指針や、100年後の軽やかな世界を目指すサステナビリティの方向性を羅針盤で示しているんです。
詳しくは「UACJグループのサステナビリティ」をご覧ください
https://www.uacj.co.jp/sustainability/highlight/index.htm
自分の生かし方、
どう見つける?
宮里
チームの中で自分がどこに貢献できるかは、方針を理解して、落とし込んでいった先に見えてくると思います。
後藤
その、“理解して落とし込む”が実は一番難しい部分だと思うんですが…。
宮里
変なプライドは捨てて全部受け入れる。これに尽きると思います。
後藤
かっこいいです…!
宮里
これは僕自身の経験からです。大学時代、8番ポジション(ナンバーエイト)をずっとやっていたんですけど、力のある後輩がどんどん入ってきて、ある日突然、2番(フッカー)になってしまったことがあって。
後藤
8番ポジションは、フォワードの中でも中心になる重要なポジションですよね。
宮里
当時は理由もわからずやってましたけど、2番として初めて試合に出た時に気づいたんです。もし8番ポジションに固執していたら、きっと試合自体に自分は出られていなかったなって。
岩村
それだけいいチームプレーができた試合だったってことだよね。
宮里
はい。結局自分の「こうしたい」を先に出すよりも、まずは周りのアドバイスを素直に受け取る。そういう姿勢が成長につながるんだと思います。
後藤
実践して、成功体験を積んでいくうちに、自分の役割が見えてくるということですよね。
岩村
あとは、ストレートに自分の上司に「聞いてみる」のも手ですよね。僕らも、コーチ陣に自分に求められていることは何かを聞きに行くこともありますし。
後藤
チームの中の個人として持つべき考え、チームをまとめあげる立場にある人に求められるもの。どちらの面からもチームビルディングに重要なヒントをたくさんいただけました。UACJは今後人的資本経営に本格的に取り組んでいく予定なので、今日のお話をぜひ生かしていきたいと思います。ありがとうございました!
岩村
宮里
ありがとうございました。

AFTER INTERVIEW
UACJ 後藤 里保
ダイナボアーズの皆さんが日頃からの信頼関係を築いているからこそ、試合の際にチームとして力を発揮されていることが、伝わってきました。自分と相手の個性を理解して日頃のコミュニケーションに生かすというのは、企業のチームづくりにも通じるところがあります。チーム力を高めるために「プライドを捨てて受け入れる」という言葉が響き、私も早速挑戦中です!
Profile
広報グループで、UACJやアルミの魅力を社外に伝える仕事をしています。最近は、アルミスプーンを使う、という大義名分のもと、たくさんアイスを食べています。皆さんもぜひ!
※こちらに掲載している情報は取材当時のものです
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