RESEARCH
Hello! UACJの世界の
現場から
【タイ編】
“しあわせに働く”って
どういうことだろう?
Featuring
UACJ (Thailand) Co., Ltd. Patcharin Muangin(オイ)さん
(人事課長)
Featuring
UACJ (Thailand) Co., Ltd. Wilawan Kamkheaw(エウ)さん
(人事課長代理)
Interviewer
UACJ 渡辺篤史
Interviewer
UACJ 高蕾
世界のUACJの取り組みからサステナビリティのヒントを探る企画、第二弾。今回はタイ(UACJ (Thailand) Co., Ltd.)からお届けします。タイ国内の企業で今取り組まれる「Happy Workplace Program」と8つの枠組みとは?“しあわせに働く”について、現地の取り組みから考えます。
世界36もの拠点を展開しているUACJグループ。その中でも、東南アジアの生産拠点を担っているのが、タイ東部のラヨン県に本社工場を置く、UACJ (Thailand) Co., Ltd.(以下、UATH)です。UATHでは、しあわせに働くための取り組み「Happy Workplace Program」が行われているらしい!ということで、UACJの人材戦略部の渡辺&高が早速お話を伺います。
「Happy Workplace Program」って
なんですか?
オイ
タイが国を挙げて促進している、職場での従業員の健康促進プロジェクトのことです。
政府主導の推進プログラムなんですね!
オイ
はい。2003年に発表されて「Happy8」と呼ばれる8つの枠組みの中で、各企業が職場環境改善や福利厚生制度など、いろいろな取り組みを推進しています。
渡辺
「Happy8」は、具体的にどのような枠組みなのでしょうか?
エウ
「従業員個人のしあわせ」、「家族のしあわせ」、そして,「地域社会のしあわせ」という3つのレベルでの幸福を大事にすることをコンセプトとして掲げた、次の8つを指します。
出典:タイ健康増進財団(Thai Health Promotion Foundation)
https://happy8workplace.thaihealth.or.th/happy-8
オイ
人生を豊かにする、しあわせに生きるための考え方と捉えてもらえばわかりやすいと思います。
渡辺
「Happy8」、初めて知りました。心と体だけではなく、家族やお金のことまで含まれているんですね。幅広い。
そもそもなぜUATHでは、このプログラムを導入したんでしょうか。
オイ
導入の目的は、会社と従業員との絆を深めることです。
渡辺
「絆」ですか。
オイ
はい。すべての従業員がストレスを減らし、仕事を楽しめる環境、そして従業員が会社からのサポートを感じられる職場なら、能力を最大限に発揮して働くことができます。
つまり、従業員のエンゲージメントを高めるということですね。
オイ
その通りです。従業員がしあわせであるかどうかは、仕事の能力や成果に直接的な影響を及ぼします。心身ともに良好な健康状態であれば、高いクオリティーの仕事もできますし、またイノベーションも生まれやすくなります。
渡辺
たしかに、生産性も上がりそうですね!
オイ
UATHでは、2014年頃から従業員に対する多様な取り組みを推進していますが、ここ数年では、Happy8の枠組みに基づいたアップデートを行っています。
日本でも似た考え方はありますが、国を挙げての取り組みというのがとても興味深いです。
具体的に
何をしているの?
オイ
まず、「Happy Body」では従業員の健康促進のために、毎朝のラジオ体操、終業後のスポーツ活動などを行っています。
渡辺
え!ラジオ体操って日本のですか?
エウ
はい、日本のラジオ体操第一を毎朝全員で行います。新入社員はビデオを見ながら練習するんですよ。
オイ
「Happy Heart」では、毎月、誕生日の従業員を祝います。
以前私も誕生日会に参加させてもらったことがあります。確か、誕生日の方にはプレゼントが贈られるんですよね?
オイ
はい。UATHのロゴマークがついたお弁当箱やお箸、タンブラーなどのノベルティ、さらに、くじ引きで商品券や、運が良ければ金も贈られるんですよ。
渡辺
金?ゴールドですか?
エウ
タイではおめでたいことやお祝い事には、ゴールドを贈る文化があります。ちょうど先日、私も誕生日だったので、くじ引きで200バーツ分の商品券をもらいました。
商品券もいいですね。誕生日会は日本でもやってみたいです。なかなか会社で祝ってもらうことはないと思うので、素敵な取り組みだと思います。
タイならではの
取り組みは?
オイ
「Happy Soul」では、毎週木曜に希望する従業員でスピリットハウス*1への参拝や、仏教の教えで善行を積むという意味合いから魚の放流イベントも行います。
*1:スピリットハウスは「サーン・プラ・ポォーム」(San Phra Phum)とも呼ばれ、土地の精霊(プー・ティー)や守護霊を祀るための祠です。
渡辺
宗教的な活動が会社の取り組みとして組み込まれているのは、日本との大きな違いですね。
オイ
そのほかにも「Happy Relax」のニューイヤーパーティーや社員旅行など、たくさんのイベントがあります。
ニューイヤーパーティーは、UATHのビックイベントですよね。みなさん一生懸命出し物の練習をしていると聞きました。
オイ
はい、全従業員1300人が参加する年に一度のビッグイベントです。従業員による出し物やプロダンサーのショー、毎年のテーマに合わせたコスチュームも着るんですよ。
渡辺
どんなコスチュームテーマがあるんですか?
オイ
昨年のテーマは「キャンプ」。コスチュームコンテストも開催します。
渡辺
楽しそう!
エウ
機会があればぜひ参加してみてください。
キャリアアップや
学びを後押しするものは?
エウ
あります。「Happy Money」では、従業員が退職後に安定した資産を築けるようプロビデントファンド*2を立ち上げました。外部講師を招いて、マネーセミナーも行っています。
*2:タイのプロビデントファンドは、企業と従業員が任意で設立する退職金制度です。
退職後の生活に関するフォローアップをしてくれるのは心強いですね。
オイ
実はUATHは、従業員のe-ラーニングへの参加意欲がとても高くて、研修内容も充実しています。新入社員向けの基礎講座だけでも50個ほどの研修動画があり、また他にもオリジナルのアニメーション動画による講義などが揃っていて、誰でも参加することができるんですよ。
渡辺
新入社員向けの基礎講座だけで50個も講義があるんですね!タイのみなさんの学ぶ意欲の高さを感じます。
オイ
タイは、転職しながらキャリアアップを目指していく雇用環境でもあることから、ポジションアップや給与アップにつながるスキルの習得や新たな学びに関してかなり意欲的です。
働きやすさだけではなく、従業員のモチベーションやスキル向上は、企業の持続的な成長にとっても欠かせない要素ですよね。
オイ
研修のマネジメントもしっかり行っています。誰が、どこまで学習を進めているのか、何点で合格したのかなど、すべてシステムで把握しています。
素晴らしいですね。受け身の研修ではなく、学びが自己成長につながるという仕組みは、ぜひ参考にしたいです。
従業員に人気の
プログラムは?
エウ
ラジオ体操は結構人気です。
体を動かすのはいいですよね!私は最近UACJの福利厚生でフィットネスジムに通っているんですが、肩こりも解消されて(笑)。やっぱり働くためには体が資本。「Happy Body」は大事だなと実感しています。
エウ
それはいいですね。ラジオ体操はかなりリフレッシュできます!
オイ
そのほか人気のイベントだと、全従業員対象の1泊2日の社員旅行が好評です。近年は部署ごとに行っていますが、従業員が1000人以下だったときは、全員で行っていました。大型バス14〜15台ぐらいが連なって、その前を警察が先導するというかなり大きなイベントでした(笑)。
渡辺
すごい光景でしょうね、きっと(笑)。日本で社員旅行がある会社は、最近ではかなり少なくなってきた印象です。Happy Workplace Programによる、目に見える効果みたいなものはありますか?
エウ
離職率の低下にはかなり寄与していると思います。2014年から離職者のデータ推移を見ると、年々離職率は低下していて、2024年時点では6.98%です。一般的なタイ全土での離職率は平均20%と言われています。
平均と比べるとかなり低い数値ですね。取り組みがしっかりと従業員のやりがいにつながっているのがわかります。
しあわせに働くって
どういうこと?
エウ
タイには「サバーイ」という言葉があります。「穏やかで満たされた状態」という意味合いで、この価値観が働く上でも根底にあると思います。
聞いたことがあるフレーズです。心が満たされてハッピーな状態で働ける、ということですね。
エウ
はい。人は誰かと共生し、家族、組織、社会の中で責任や役割を持ち、一員であると感じられることで、目標を持って前向きに生きることができると言われています。そういう状態こそが、しあわせに働くということだと私たちは思っています。
オイ
そのための「Happy8」であり「Happy Workplace Program」です。職場内でもさまざまな人がいて、考え方は同じではありません。その上で、互いを理解し、ストレスのない環境、“本音で話し合える雰囲気”をいかに作れるかが、私たちの役割だと思っています。
渡辺
従業員がしあわせに働くために、人事チームの方々が一丸となって活動に取り組んでいることがよくわかりました。
UATHがこの10年で離職率を大幅に減少させてきたのも納得です。しあわせに働くことが、人生の充足感、サバーイチャイにつながるというのもとても勉強になります。
エウ
ありがとうございます。ちなみに、UACJの取り組みについても聞いてみたいです。
渡辺
UATHと同じく健康診断や献血活動はあります。CSR活動としての、会社周辺のゴミ拾いやビーチのクリーンアップ活動、福井製造所では福井の森の植林活動にも取り組んでいます。
そのほかに教育活動も行っていますね。以前、環境教室に子どもと一緒に参加したことがあるのですが、アルミニウムの循環の仕組みや環境に関する学びを得られました。
オイ
それは興味深いです!機会があればぜひ詳しく聞いてみたいです。
渡辺
ぜひ意見交換しましょう。ちなみに、私が個人的に頑張っているのは懇親会です(笑)。メンバー間の親睦を目的に、レクリエーション費を活用して定期的に行っています。
エウ
いいですね!
渡辺
交流の場があることで仕事も円滑に進みます。でも、何より自分が交流できることが楽しい、しあわせに働くための活動の一環と言えるかもしれません。
今後の展開は?
オイ
次のチャレンジとして、デジタルを活用したメンタルケアの仕組みに取り組んでみたいです。
デジタルの活用?
オイ
まだ構想段階ですが、アプリケーションを活用した従業員の気分やストレス度がチェックできる仕組みを導入したいと思っています。
渡辺
それが実現すれば、より早く従業員の不調や変化に気づけそうですね。
オイ
はい。これらのデータを活用していくことが、長期的により良いUATHの企業文化を築いていくことにもつながってくると思っています。
渡辺
「従業員がイキイキと、そして、しあわせに働けるように」という考えは、働く国は違えど一緒なのだと改めて気づくことができました。お互い、よりよい職場を目指していきたいですね。
今日は本当にありがとうございました。
オイ
エウ
こちらこそ、ありがとうございました。
UACJ (Thailand) Co., Ltd.
UACJグループの東南アジアの生産拠点。ラヨン製造所は、東南アジア随一の板材圧延工場で溶解工程から一貫生産を行い、年間32万トンの供給体制を構築しています。
https://uath.uacj-group.com

AFTER INTERVIEW
UACJ 渡辺 篤史
タイという、日本と異なる地域・文化での取り組みは非常に新鮮でした。また、その中でUATHの皆さんが楽しんで取り組んでいる様子は、とても印象的でもありました。UACJグループでもピープルステートメントが発信されたところですので、私たちも、よりWell-Beingな会社にしていくために何ができるか改めて考えたいと感じました。
Profile
毎日楽しく過ごしたいと思っています。会社のある大手町駅構内を誰にもぶつかることなくスムーズに歩けた時、ささやかなしあわせを覚えます!
UACJ 高 蕾
インタビューを通じて、タイの文化と価値観、特に「サバーイチャイ(穏やかで満たされた状態)」の重要性を深く理解しました。日本とタイの働き方の違いはあるものの、幸福への根底にある想いは共通していると感じました。この対話は日本とタイの「しあわせな職場」を考える貴重な機会となり、国を超えて「人間にとっての本質的なしあわせとは何か」を改めて考えるきっかけを与えてくれました。
Profile
運動は苦手ですが、ヨガとチョコザップでコツコツ健康習慣を続けています。中国生まれですが、日本とタイも大好きです!タイ語マスターに挑戦!…したものの、難しすぎて挫折(笑)。またいつか再開するぞ、と前向きに思っています。
※こちらに掲載している情報は取材当時のものです
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